とある性別違和の記録

自分の性別に違和を感じたわたしが、性同一性障害の診断を経て戸籍変更に至るまでを綴ります

性別適合手術・入院7日目

7日目は目立った動きもなく!細かいところを拾っておきます。多分今日は嵐の前の静けさです。

 

かぶれ

看護師さんが気づいてくれたのですが、腕の点滴が入っているところのルート固定をしているテープの下が、どうやら掻き壊してしまったらしく血だらけになっていました。

かぶれやすいことを説明して貼り直してもらいました。

 

ところで、山梨では引っ掻くことを「かじる」と言うそうです。2人の看護師さんから聞いて、説明してもらいました。「かじりました?」って聞かれてなんとなくニュアンスは伝わったのですが、方言女子が可愛いってこういうことかーっ、と余計な属性が芽生えそうでした……

あと「怠い」「疲れた」は「えらい」ですが、こちらは私の生まれたところも同じ文化圏なので(&私がいちばん最後までなかなか抜けなかった方言なので)むしろ染み渡るように通じました。

 

ちなみにかぶれについては、回診にいらっしゃった百澤先生にも「えらい弱いんだね」と言われ、件の看護師さんにも「ここまで弱いの見たことない」とまで言われたので、わたしの肌はどうやら最弱決定です。めでたしめでたし(ちっともめでたくない)。

 

明日

明日こそ管が抜けるようです。ということで、おそらく明日からは大部屋です。

多分洗浄を明日教わって、歩行訓練と、もしかしたらダイレーションも明日からなのかな? 明日以降は盛り沢山だと思います。

 

性別適合手術・入院6日目

6日目は色々ありました。大きなことから小さなことまで、拾っておきます。

 

通常食に

今日から通常食です。昨日までの低残渣食もそれなりに美味しかったのですけど、普通のごはんがこんなに美味しいなんて……飢饉の村を脱してたどり着いた先で白飯を振る舞われた江戸時代の農民みたいな感想が口をついて出てしまいました。

 

なお、朝食にはプリントが添付されてて、読むと週後半のごはんを選択メニューに替えられますよ(差額がかかるけど)の案内でした。

おおこれが噂に聞いていたあれか、ということで、慎重に検討を重ねた結果、朝はパン、昼は差額メニュー、夜は通常食という結果に。実を言うと好き嫌いが多いので、食べられるもののうち優先したい方を正直に選んだらそうなりました。今から週後半が楽しみです。

 

固定具外れる

股間をガチガチに固定していたパーツが一部外されました。これで随分腰回りが動かしやすくなって、腰痛も解消されそうです。

管などは全部繋がったままなのでそこまで自由度があるわけではないですけど(硬膜外麻酔は今日で終わりじゃなかったみたいです)。

一方、固定のため肌に直接貼られていたテープのせいで、かぶれて水ぶくれのひどい状態になっていたらしいです。わたしはクリマラパッチでもすぐにかぶれてしまう肌の弱い質なので、そりゃ無理な話ですねえ。剥がす時はたいそう痛かったですが、一応かぶれにくいものに貼り替えていただいたそうで。それでもかぶれたらごめんなさいと言われましたが、ここは苦笑するしかなく。

 

なお、この時同時に入れっぱなしだった一番細いダイレーション棒が抜かれたそうで、洗って置いてありますと言われたので後で見たら、これが? 一番細いの? といった感想しか出ませんでした。いや、ダイレーション頑張りますよ。

 

清拭

なんか体から変な匂いが放たれ始めていたので、午後清拭をお願いしました。寝衣も着替えてさっぱり。

一ヶ月以上ホルモンを入れてない&除睾していない状態だったので、全部取ってしまった今も名残なのか男臭くて気持ち悪かったので助かりました。

 

さて、直接は関係ないですがどうにも取り除いた睾丸がまだあるかのような、押しつぶされている感覚があって、冷静に考えてそんなわけがない(だってタマどころかふぐりもないので)おかしいなと思ってツイートしたところ、オペ済みの皆さんから「それは幻肢痛では?」という尤もな答えが返ってきて首肯せざるを得ませんでした。これが噂のあれかあ、みたいな。同時にいろいろ興味深いお話も聞けて、なんだか有意義な時間でした。

 

初めてのトイレ

そうこうするうちになんだかお通じが来そうな予感だったので、晩ごはんのあと看護師さんにお願いしてトイレに。個室だからトイレも室内で便利です。

ところが、2日前と同じで立てない。固定具が邪魔して力が入らないわけではなく、術後の回復に時間がかかっているのとずっと寝たきりのせいで、足に力が入らないのです。

それでもなんとか点滴台を支えにトイレにたどり着き、「迎えに来るから呼んでください」という声を尻目にモタモタと用を足して身支度を整えて、トイレを流して立ち上がったんですが、これなら自力で戻れそうじゃない? という悪魔の囁きに乗ってしまったからさあ大変。確かにほんの数歩の距離でしたけど戻った時には疲労困憊ぶっ倒れました。またもやほぼ気絶です。

 

おまけに後で様子を見に来た看護師さんにもこっぴどく叱られ……

いやもうそれはいちいちご尤もでして、倒れてたらただでは済まないし硬膜外麻酔の針が抜けたりしたら麻薬がぶちまかれて大変なことになる。絶対に駄目です。と言われ反省しました。

ちょっとしたプライドみたいなものが顔を覗かせるとよろしくないですね。皆さんは看護師さんの言い付けには素直に従いましょう。

 

明日

明日は洗髪できるか聞いてみたところ、歩行練習がてら洗えるかも、とのことでした。髪がべとついてきたので洗えたらいいな。

あとそろそろダイレーションですかね?

性別適合手術・入院3〜5日目

あんまり代わり映えがしないのでまとめて書きます。

 

食べるか寝るか

正直この2つくらいしか選択肢がなく。

細かく見ていくと色々あるにはあるんですけど、ざっくり言って朝ごはん→お腹いっぱいで寝る→昼ごはん→午後から熱が上がって寝る→晩ごはん→消灯して寝る、みたいな。ああ何という生産性のない日々(入院中ってそういうものでは?)

 

立った

入院4日目、つまり手術から開けて2日目、清拭のついでに「立ってみますか?」と言われて立ちました。立ったんですけれども。

正直数日寝込んだだけで弱った脚と、股間のあまりの痛さに立ったのを後悔しました。いやマジで痛かったんですって。思わず気絶したくらいの勢いでその後寝ました。

さて、とはいえいつか立たねばなりません。聞くところによると明日(入院6日目)には固定具を外すそうで、つまりこれはまた立つことになるんですけど、わたし立てるんでしょうか。

 

ごはんのこと

手術直後の晩ごはんから割と普通の食事が出た話は書きましたが、低残渣食の今、一食およそ180Kcalのようです(180という数字が書かれているので多分カロリーだろうという判断です)。

軟飯というちょっと水分多めに炊いたごはんにおかず3品もしくはおかず2品とデザートという組み合わせ。おかずも普通にお肉だったり魚だったりと野菜の組み合わせで、飽きさせない工夫がされています。

そしてなんと言っても美味しい。これはちょっと目から鱗が落ちました。こんなことを言っては大変失礼かと思いますけど、わたし自身の入院の経験から「病院食は薄味or味付けミスった」のイメージしかなかったので、え、普通に美味しいんだけど!? という驚きの連続で。

 

ただですね、SRSのあとは上体を30度までしか起こしてはいけないという決まりがあるようで(そうじゃない看護師さんもいらっしゃってどっちが正しいの? と疑問符が浮かんでいますが、まあ、ダイレーションが刺されっぱなしらしいですしあまり上体を起こすと響くのは想像つきます)、その体制だとそもそも食べること自体が大変不自由ですし、体力も減ってるので、せっかくの美味しいごはんを半分くらい残してしまうのが悩みのタネでして。

自分でもごはんを作るので分かりますけど、せっかく作ったごはんは食べきってくれると嬉しいですよね。

わたしもなるべく頑張ります。

 

明日

さて、上でも書いたとおり、明日は固定具やら麻酔やらが外されるようです。

硬膜外麻酔は今日夕方から既に量を減らされています。そのせいかどうか、今夜はちょっと傷口が痛い気がします。

明日、気絶しないといいな……

性別適合手術・当日

2021年12月03日、手術当日となりました。

 

浣腸

朝一番に浣腸。

前夜薬を飲んだのもあり、浣腸を受けた時点でお腹が張ってきたのですが、「5〜10分はそのままで」と言われたので我慢して、8分くらい経ったところでトイレに。スッキリです。

 

着替え

8時20分くらいに迎えに来るので、それまでに術衣とT字帯に着替えてくださいとのことでしたが、やることがないのでさっさと着替えます。

あ、そうだ。ロングヘアの人は髪を括るゴムを持っていってくださいね。これはたしかどこにも書いていなかったので用意しておらず、看護師さんにいただきました。

いずれ持参した荷物と実際に必要だった荷物をまとめます。

 

手術室へ

時間が来たらお迎えがくるのであとについて手術室へ。

今わたしが入院している病棟もそうなのですが、手術室も新しくて最新技術の塊に見えました。尤もわたし自身は手術を受けたことがないので印象程度の感想ですけど。

まずは硬膜外麻酔から。

なんとなく痛そうな気がしていたのですけど、全くそんなこともなく、テキパキと進んでいきます。

続いて全身麻酔……ですが、ここで完全に記憶が途切れました。気づくと手術室で目を覚まされていました。

そこから病棟の個室(手術後しばらくは個室でケアを受けます)まで移動して手術は終わり。

本当にあっという間でした。

 

手術後

当たり前ですが、手術を受けた患部は痛いです。それとは別に、病室のエアコン設定温度がやや高めのせいか、汗ばんだ太ももや背中がやたらと痒くて閉口しました。これはちょっと対処の仕様がなさそうですけど。

多分手術が終わったのが15時くらいかと思います。時間を確認する術がなくて体感ですが。そこからしばらくは意識朦朧で、ツイートしたりLINEしたりしないとという焦りを覚えていました。

夜は低残渣食といいつつ割と普通の食事が出たので、術後すぐこんなに食べていいのか、とびっくりしました。もっとも気力が足らず全部は食べられませんでしたが。

 

あと、麻酔科の先生がいらっしゃって、痛みはどうかと尋ねられたので、ここはちゃんと伝えなければと痛いことをお伝えしたら、料金がかかるけど麻薬入りの痛み止めに替えられますが、どうしますか? とのこと。それで痛みが軽くなるならと硬膜外麻酔を交換していただきました。それからは痛みも楽になり、眠れるようになりました。

 

今ダイレーション用の一番細い棒が入りっぱなしなのねなどと想像しつつ、その日はいつの間にか寝ていました。

性別適合手術・術前検査

他の病院はどうだか分かりませんが、山梨大学医学部附属病院でのSRSの場合、手術の前週月曜日に術前検査があるようです。月曜日固定なのは、百澤先生の外来が月曜日のみだからですが、そういったかたちで日時の指定がありましたので、受信しました。

 

百澤先生の診察

まずは改めて百澤先生の診察を受けます。

といっても、少なくともわたしの場合初診の時と変わらないお話を伺ったのと、ホルモン治療の休止期間を確認されただけでした。とはいえこれはちゃんと受けておく必要があります。

またここで検査の概要を伺いました。この日の検査は下記の3つです。

  • 心電図
  • 胸部X線
  • 採血

 

検査

で、検査です。

有り体に言って健康診断のそれと代わりはないです。なので、皆さんは「ああいうのをやるんだな」と想像していただければよいかと。

 

入院の説明

検査が終わったら、今度は入院病棟に行って入院時の説明とヒアリングを受けます。

説明はともかくとして、ヒアリングはいろいろ訊かれました。

栄養士の方から食べられないもの(好き嫌いと、あとは宗教的に摂取できないもの)を訊かれたり、大部屋で同室の患者さんが宗教的儀式をしても問題ないかなど。

わたしはるか昔、中学生と高校生の時に入院経験がありますが、こんなこと聞かれた覚えがないなとちょっとした感動を覚えました。時代は進化しているのです。尤も、中学の時は私に訊かずに親に訊いたのかもしれませんけど。

あとは下半身の剃毛について、詳しくお話を受けました。

 

説明を聞いて入院時のタイムスケジュールを簡単に伺って、この日は終わりです。とはいえ、次に来る時は入院なので、ちょっと身が引き締まる思いです。

性別適合手術・入院1日目

2021年12月02日、入院当日です。

やらかした

はい、朝一からやらかしました。
ちょっと余裕ぶってゆっくり支度をしていたんですけど、前泊したホテルをチェックアウトして、フロントでタクシーを呼んでもらったら、全然来ない……
完全に遅刻です。

実は元々、甲府駅近くのホテルに前泊して、朝は身延線で最寄り駅まで移動の上歩くつもりだったんです。ところが、前夜家を出た時に予想以上に荷物が重いことに気がつき、これは無理だということで、ホテルから病院までタクシー移動に予定を変えました。ただ、タクシーがすぐ捕まるだろうという目論見が崩れ去ったところで、すべての計算が狂いました。
などと言っても後の祭りです。
タクシーの中から遅刻する旨電話して、9時に受付するところ15分遅れで病院に辿り着きました。
いや、交通事情の分からないところでは30分前行動くらいしないと駄目ですね本当に。

PCR検査

さて、病院ではまずPCR検査を受けました。
こちら、県内であれば入院の数日前に検査を受けるところ、県外からの入院ということで、入院当日に検査をする代わりに結果が出るまで入院できません。
ということで、検査終了後10時くらいには病院を後にしました。

お散歩

検査結果が出るのは14時から15時くらいということで、数時間の空きができました。この間どこかで時間を潰さなければなりません。
ところでわたし、実は山好きでして、ホルモン摂取するようになって体力が落ちてからは登らなくなりましたが、山を眺めていると登りたくなるのです。
そしてここは甲府


ということで、山を眺めていました。

それとグラコロの季節が来たのでグラコロ食べたい、お昼はグラコロ、と期待を膨らませていたのですが、なんと病院から最寄りのマクドナルドは徒歩30分以上かかるということで、諦めていました。が、山の写真を撮るのにいいところはないかと歩いているうちに、随分マックに近いところまで来ていたので、いっそここまで来たら歩いてしまえということで


グラコロにありつけました。

入院当日に何をやってるんでしょうね...…

検査結果連絡

そうこうしているうちに、PCRの結果について連絡が来ました。無事陰性でした。万が一ということもあるので実はちょっと不安でしたが、大丈夫です。

麻酔科受診

入院の手続きの前に、麻酔科の受診をしました。主に手術時の麻酔と後遺症などの説明を受けます。
「自費になりますけど硬膜外麻酔を入れますか?」と訊かれたので、お願いしました。絶対痛いはずなので、ちょっとくらいお金がかかっても入れた方がいいはずです。
それと、気管挿管について、救急救命士の実習を受けてほしいという依頼がありました。もちろん、そういった意義のあることに対して協力は惜しみません。

いよいよ入院

さて、いよいよ入院です。
病室(4人部屋)に案内されて、荷解き。
病室についたのが15:30くらいでしたが、16:00からシャワーが割り当てられてるというので、急ぎ説明を受けて着替えてシャワー。明日手術ですからね、綺麗にしておかないと。
何人もの方が入れ代わり立ち代わりいらっしゃいまして、慌ただしくしているうちに晩ごはんです。


書いている今(19:00)すでにお腹が減ってます……まあ、このあと下剤飲んだり明日朝は浣腸されたりするので、お腹にものが入ってない方がいいんですけど。

もう後は寝るくらいですかねえ。明日手術だというのに、我ながら緊張感なさすぎでは? とちょっと心配になってきました。

性別適合手術・初診

話はちょっと遡って、性別適合手術を受けるにあたっての初診について。

 

山梨大学医学部附属病院の形成外科でSRSを受けようと考えた時、まず最初に見るのは公式サイトの該当ページかと思われます。

形成外科 | 山梨大学医学部附属病院

こちらにはSRSの概要や百澤先生の連絡先、手術までの流れが書かれています。

わたしは先に百澤先生にメールで問い合わせをしておりましたので、必ずしもここに書かれた流れのとおりに進んだわけではないのですが、とにもかくにもまずは受診をする必要があるということで、初診に伺いました。

 

初診で伺ったこと

初診の時に百澤先生から伺ったのはおおよそ以下のようなお話です。

  • 手術の意志
  • 造膣するか否かの確認
  • 膣脱の可能性
  • 適合手術1ヶ月前からのホルモン治療の停止
  • 手術日の確定

他はともかく、膣脱については完全に初耳でした。

 

膣脱

帰宅後膣脱について調べてみたのですが、SRSに絡んだ膣脱についてWebでの検索には引っかかるものがなかったので、ここは百澤先生のお話を書き出します。

  • 膣脱とは、造膣した際の膣内壁の皮膚が剥がれてべろっと出てきてしまうことを指す
  • 百澤先生の手術例は100例以上にあるが、そのうち50代以上の患者で3件膣脱があった
  • 50代以上の場合の造膣は膣脱の危険性が高いということは認識すべきである

その上で、本当に造膣するかを念押しされました(言い忘れましたがわたし手術時点で51歳です)。

 

私の希望は最初から造膣なので、危険性を理解した上でそれでも造膣したい旨を返答しました。

とはいえ、これは全く想定していなかったので、帰宅後すぐに調べたわけですが、結局あまり有用な情報には辿り着けず。

こちらについては今後の展開が全く予測不可能なので、万が一腟脱したらご報告します。いや、万が一がないよう祈っていますが。

 

初診の感想

山梨大学医学部附属病院でSRSを受けたいと考えている場合、まずは百澤先生の診察を受けるところから始まります。

そもそもここでSRSを受けられるのかというところから始めてもいいですし、関東ジェンダー医療協議会経由の場合はおそらく手術を受けることは確定していて、あとは手術日を決めるだけということもあるかもしれません。

大学病院ですので、紹介状が必要だとかハードルが高いとか色々思い悩む要素も多いと思いますが、そういう場合はいきなり病院に行くのではなく、百澤先生とメールでやり取りするところから始めるとよいと思います。分からないことがあればちゃんと答えてくださるはずです。

とはいうものの、そもそもそのメールを出すこと自体結構勇気が要りますよね。わたしも最初のメールを出す時は緊張しました。けれどメールのやりとりや実際にお話したみて、先生は気さくな方だという印象を持ちましたので、迷ったらまずはご相談してみると良いと思います。