とある性別違和の記録

自分の性別に違和を感じたわたしが、性同一性障害の診断を経て戸籍変更に至るまでを綴ります

性別適合手術・退院

退院日でした。

朝ごはん食べたらいよいよ身支度してでていくことになります。

 

そんな中でも

やっぱりダイレーションはしておかないと。

最後の回診が終わってから、おもむろにダイレーション→洗浄のワンセットを。

途中退院の手続きにいらっしゃった看護師さんに一旦帰ってもらって(ごめんなさい)ノルマクリアです。

 

お会計

退院の手続きと言っても、基本的には出ていくだけです。身支度し終わった頃に事務の方が金額が記載されたものを持ってきてくださいました。

しめて1,761,083円。

元々大体160万円くらいと伺っていましたが、それに硬膜外麻酔とモルヒネが加算されてこの金額になりました。あの硬膜外麻酔がなかったら痛みに七転八倒だったことを思えば、むしろこれくらいは問題ないです。

病棟を出て、会計で支払いを済ませて、おしまい。無事退院しました。

あとはひたすら懐かしの我が家へ。

 

改めて

元々わたしはタイでのSRSを検討していました。

それがコロナ禍になり渡航が困難になったことを受け、最初は(ずっと先まで予約が埋まっていると聞いていた)大学病院ではなく、ナグモとかKAZUKIとかで受けることを考えました。

それがある方に紹介を受けたところから始まり、あれよあれよと転がるように山梨大学医学部附属病院でのSRSを受けることになりました。

 

大学病院でのSRSはずっと敷居が高いのではという思い込みがあり、ちょっと身構えていました。それがまず百澤先生との気さくなメールのやり取りで気持ちが解れ、実際に初診、術前検査と通院を重ねるごとに信頼感が増し、いざ入院してみたら先生や看護師さんたちの真摯な対応で、リラックスして手術や術後のケアが受けられました。

また、最初は少し長いかと思っていた2週間の入院も、いざ蓋を開けるともっと長く入院していたかったと思わせるような心地よさがありましたし、回復に要する期間とそんなに長くは休めないという社会人的都合を考えると、長くも短くもない、適切な期間と思われました。

 

手術なので、最終的な判断はきちんと腫れがひいた後、どのような外観に落ち着くかを待たないといけませんが、少なくともここまでの経験から総合的に判断して、もし国内の大学病院でのSRSを検討している方がいらっしゃったら、前向きに推奨したいくらいです。

他の選択肢に比べて情報量が少ないため、国内大学病院でのSRSを勧める声はまだ小さいとは思いますが、私はどんどん推していきたいと思います。

 

最後に、山梨大学医学部附属病院の皆様、お世話になりました!

 

 

あ、このブログはまだまだ続きます!

性別適合手術・入院13,14日目

あとはもう退院を待つだけのルーティンワークだと思っていました。

 

ダイレーションと膣洗浄

ダイレーションと膣洗浄は、退院後もずっと続くメンテナンス作業です。なので、今のうちに慣れておきます。

正直に言うと作業自体はあっという間に慣れました。もう手鏡なしでも膣の位置は覚えましたし。あとはだから、どこまで挿れられるか、サイズアップができるかというところを探りながらやっていくことになるんでしょうね。

あまり出血もないですし、この辺は順調です。

 

深夜の部屋移動

13日目の夜、とうに消灯時間も過ぎたところで、ノックの音が。

何事かと思ったら看護師さんが入ってきて、すまなそうにおっしゃいました。曰く、重症の患者さんが出たので個室で面倒を見たい、ついては4人部屋に部屋を移っていただきたい、とのこと。

今から? とは思いましたが事情は把握したので、すぐに荷物をまとめます。移動自体は看護師さんに全ておまかせで、終わったあと4人部屋に。

いや、こんなこともあるんですね。

 

シャワー

ということで個室のシャワーが使えなくなったので、今日の洗浄は共用のシャワールームです。ここを使うのは入院日以来。

 

ところで、退院した真っ先にやりたかったことの一つが、裸で全身を鏡に映して見ることだったんですよね。

だって毎日のように患部は見てるわけですけど、それが全身の中でどういうふうに見えるのか、全体のフォルムはどう変わったのかは、全部を通しで見てみないと分からないじゃないですか。

 

ところが、共用のシャワールームに入ったところ、あったんです。小さいけどなんとか全身を収めることができる鏡が

見てみました。

見慣れた自分の身体の中、そこだけぽっかり何もなくなったように、邪魔なものが消え失せていました

 

あ、わたし、こういう身体になったんだ。

ずっとなりたかった身体になった自分がそこにいました。

 

限られたシャワーの時間の中、しばし感慨に耽るかのようにその身体を見ていました。

 

明日は退院

さて、明日はいよいよ退院です。

明後日からはもう業務に戻るし、自宅に戻ったらダイレーションや洗浄をどうやるかを検討しなければいけません。結構慌ただしくなりそうです。

性別適合手術・入院12日目

週明け月曜日、またなにか動きがありそうです。

 

回診

朝一で百澤先生を中心とした回診にいらっしゃいました。

いつもどおり股間の状態を見たあと、ダイレーションの話に。

百澤先生曰く、以前はもっと早くからダイレーターを始めていたけど、今は退院後の通院時から始めるのでも良いと考えている。採用している術式(陰茎陰嚢皮膚反転法)の場合、基本的に癒合が起こらないので、そんなに早く始める必要はない。とのことでした。

その上で、今週木曜日の退院なので、では今日から始めてみますか、ということに。

いよいよダイレーションです。

 

ダイレーション

午前中はシャワーを浴びたり膣洗浄をしたりして過ごしました。

で、午後になって看護師さんがいらっしゃいまして、ダイレーションやってみましょう、となりました。

 

ちなみに今回使うダイレーターはこちら。比較のためにペットボトルと並べています。
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……分かります? そう、初めてのダイレーターなのに意外と太いんです。しかもこの上にまだ3段階太いのが待っているんです。

 

とにかくやってみないと話にならないので、ダイレーターに持参したコンドームを被せ(流石に太いとはいえコンドームブカブカです)、ゼリーを付着させて、下半身裸になり、手鏡を片手にさあ挿れてみてください、となりました。

あれ? いきなり自分でやるんですね。

仕方がありません、膣洗浄で入り口は分かっているので、そのあたりにあてがってゆっくり力を入れていきます。

話によると、初回はこの辺りでギブアップする方も多いらしいです。痛いとかそういった理由ですかね。一方わたしはあてがう場所は分かっていながらなかなか入らず、とはいえこういうのは焦ってはだめと理解しているので、座った状態で上から下に向かうよう角度を変えたりしてゆるゆると力を加えていきます。

と。

スルッという感じで入りました

プチシャワー・セペの時と同じで、入り方は器具の方がそうなるようにできているので、器具に合わせてゆっくり力を入れていけば、ちゃんと収まるところに収まるようです。

 

実はこの感覚、わたしは知っていました。

私の両耳たぶには00G(直径1cm)のピアス穴が開いているのですが、この穴を拡げるのが拡張器と呼ばれる器具です。先端が尖っていて、根本に向かってだんだん太くなっていく構造でして、細い拡張器から徐々に太いものに付け替えていくことで順に穴を大きくします。これが普通にやっても入っていかないので、ゆっくりゆっくり、時間をかけて押し込んでいくのです。するとあるタイミングでスルッと入ることがあります。

 

ダイレーターも規模の違いこそあれ、やっていることは同じです。ですので、筋がいいと褒められましたが、実は似たような経験があっただけ、なのです。

 

とはいえ、まだ先の方が入った程度です。何となく一気に根本まで入れるのかと思っていたのですが、今日はここまででいいらしいです。本来ならこの状態で15分くらい待つらしいのですが、初回ということで半分くらいの時間でいいそうです。

が、そこはそれ、やはり初めてなので出血が。血を拭きつつ、特に心配が必要な出血の仕方ではないことを看護師さんが確認します。こういったところはプロがそばについていてくれて心強いです。

やがて時間終了。ゆっくりと抜かれたダイレーターwithコンドームは、先端から5cmほどが血に濡れていました。つまりここまでは入っていたということですかね。

 

油断は禁物ですが、やってできなくはなさそうという自信はつきました。今後はこれを1回15分で1日2〜3回やったあと、膣洗浄ということでした。

 

個室の意味

以前書かれた記事を参照すると、管が取れて歩けるようになった辺りで大部屋に移動し、以降はそこでダイレーションと膣洗浄を行う、というのがセオリーだったようです。

それが今回一向に大部屋への引っ越しもなく、ダイレーションも始まらないなと思っていたら、この辺り大きく治療方針が変わったようです。

要は退院までは洗浄をメインに行い、ダイレーションは余裕がある場合だけ始める、洗浄にはシャワー付きの個室のほうが都合が良いので、最後まで個室ということになったのでしょう。

 

ともあれ、これでようやく入院中に指導されるものは一通り学んだようです。明日明後日はこれの繰り返し、明々後日には退院と、予定が見えてきました。

性別適合手術・入院10,11日目

 

週末はイベントが少ないので停滞しがちですが、土日分まとめて。

 

膣洗浄

前日プチシャワー・セペを購入したので、まずこちらを試します。

最初はシャワーを浴びたあとそのまま浴室で。分からなかったら呼んでねと看護師さんに言い残されたので、とりあえずやってみようとググッと入れてみたら……

なんかスルッと入りました

あれですね、どこに先端を入れれば良いか分からないので、探ってるうちに入った感じ。むしろ入ったところが膣と判断したほうが簡単です。そうあちこちに入るものでもないですし。

ただ、なんとなくの感覚ではありますが、ノズル部分はそんなに長くないので、奥まで洗えてるかなあというのが少し気になりました。こればっかりは中が見えないので分かりませんけど。

午後からはトイレで便座に座ってチャレンジ。これは本当に楽。あっという間に洗浄が終わります。

 

日曜日、今度はネラトンカテーテルを使った洗浄も一人でやってみました。

まずはトイレで、看護師さんと一緒に。膣の場所が大体分かったので、割と楽に入っていきます

ネラトンカテーテルは長さがあるので、ちゃんと奥まで洗えてる感がありますね。もちろん見えてないので実際は分かりませんけど。

午後からはシャワーのあと浴室のベンチに座った状態でもチャレンジ。ああ、これは分かりやすい。トイレだと角度の問題で完全に手探りですけど、こちらは少しだけ膣の位置が見えてるので簡単です。ネラトンカテーテルの場合、途中で何度かシリンジに水を継ぎ足す必要がありますが、浴室なら水場があるので継ぎ足しも楽々。

 

ということで、トイレでするならプチシャワー・セペ。浴室ならネラトンカテーテル。と使い分けるのもありかなあという気になってきました。

 

膣以外も洗浄

さて、SRSでは見落とされがちな気がしますが(そんなことない?)、ちゃんと膣以外も綺麗に保つ必要があります。

わたしが伺ったのは、大陰唇と小陰唇の間に汚れが溜まりやすいので、泡をつけて、ゴシゴシ擦るんじゃなくて指で丁寧に洗って、という洗浄法です。

これもやってみました。

まず全身を洗ったあと、シャワーのベンチに腰掛けて、手にボディソープの泡を取って陰部のあたりに付着させます。そのまま、手探りでこの辺りかなというところを、指の腹を使って優しく丁寧に洗っていきます。

シャワーを直接かけると痛いかもしれないので、一度手に受けるなりして間接的に洗い流していきます。これだけです。

ただこれ、どうしても最初は傷口に直接触る感じが怖くなりますよね。とはいえ意外と大丈夫でもあるので、気にせずやっちゃいましょう。何回かやっているとかなり慣れてきます。と同時に、自分の身体にこんなものが作られたんだ、という感動も味わえますよ。

 

ダイレーション

洗浄までできたので、あとはダイレーションを教えていただけば完了です。

ただ、どうやらダイレーション開始時期は2020年の頃と比べると後ろだおしになったようです。

とりあえず百澤先生の月曜日の回診で、初めて良いか確認しましょう、というお話になりましたが、場合によっては入院中はダイレーションを開始せず、退院後の通院から開始することもあるようです。

患部が腫れ上がって痛いところを無理にダイレーションするよりは良いかと思いますが、ダイレーション自体に興味があるので少し拍子抜けの感は否めません。まあ、とにかく、全ては百澤先生のご判断をお待ちしましょう。

入院時の持ち物

今回は入院の記録を一旦離れて、わたしが入院時に持ってきたものについてざっくり解説します。

 

何が必要なの?

そもそも入院時何を持ち込めばいいのかについては、特に説明はありません。病院が作成した入院のしおりには最低限の持ち物について説明はありますが、SRSを受ける人が必要とするものについては、売店で購入することを前提として、特に事前に説明することはしていないようです。

これは一見合理的なのですが、一方でSRS後に何度も売店まで足を運ぶのは困難だったりもします。

そこで、いつものとおり先達の情報を参考にしました。

入院に必要な物について【2022.3加筆修正済】 | 山梨大学医学部附属病院でのSRS体験談(2020年度版)

 

ただし、これで紹介が終わるなら楽なものですが、実際にはそうもいきません。たった1年で治療方針ががらっと変わってしまう結果、必要なものについても大幅に変更されることもままあります。

そこで、今回はわたしが用意したものを書き出した上で、その必要性などについて書いてみようと思います。また、これがあれば楽だったのに、みたいなことも書いてみます。

 

入院時の持ち物

今回持ち込んだものをざっと書き出してみましょう。イヤフォンまでが入院のしおりで言及されているもの、それ以降は上記ブログから自分なりに読み取ったものです。

  • 普段使用している薬
  • マスク
  • ボックスティッシュ
  • 食器
  • シャンプー/リンス/ボディソープ
  • 歯ブラシ/歯磨き粉
  • 洗顔用品/化粧品
  • 着換え
  • 室内靴
  • タオル
  • 充電器
  • イヤフォン
  • T字帯
  • サニタリーショーツ
  • ナプキン
  • 吸水パッド
  • 防水レジャーシート
  • コンドーム
  • 手鏡

 

それぞれについては下記でご説明します。

 

普段使用している薬

常用している薬については、術前検査の日に確認されます(そういえば術前検査の記事に書かなかった気がするので後で追記しておきます)。

ここでいう常用している薬というのは病院で処方されたものに限らず、市販薬やサプリのようなものも含まれます。それが入院中にも使用して差し支えないものであれば、病院側で預かって定期的に出してくれます。

入院当日預けますので、必要な分を持ち込んでください。薬の異動がないかを確認するのにお薬手帳も必要です。

 

マスク

このご時世必須アイテムですね。病室を出たらマスク必須なので、必要量持っていきます。

 
ボックスティッシュ

2週間以上の入院なので、ボックスティッシュは必須です。普通に考えたら現地調達でいいですけど、やや嵩張る以外たいしたこともないので持ってきました。

 
食器

病院の食事には食器が付属しないので、必ず持ち込みます。売店で割り箸とか使い捨てのスプーンやフォークが買えるのでそれでも良いですが、わたしはキャンプで使ってみようと思っていた折りたたみの食器セットがあったのでこれを買いました。

あとは食事の時も使いますが歯磨きなどでも必要になるプラスチックのコップですね。これも現地調達できますけどそこまでかさばらないので家にあったプラスチックのカップを持っていきました。

それとストロー。水分は十分に取る必要がありますが、最初は起き上がるのも大変なのでストローがあると便利です。これも元々リユーザブルストローを買いたいと思っていたので、買いました。

もっともこのストロー、出しそびれてしまい歩けるようになってから使い始めたのであまり意味はなく……あ、でも使い勝手はいいです。ペットボトルに挿して使っています。

 
シャンプー/リンス/ボディソープ

これも現地調達できますけど、わたしの髪はパンテーンで洗わないとだめなので(髪質が)、百均で買える小分けボトルで持ってきました。

 
歯ブラシ/歯磨き粉

当然歯も磨きますので必須アイテムです。持っていきましょう。

 

なお、以上のアイテムは、売店で「入院セット」として売られているものに含まれます。特にこだわりがなければ入院初日に買うのでもいいかと思います。

 

洗顔用品/化粧品

洗顔と化粧水などの基礎化粧品もなくては困るので、普段使いのものを持ち込みました。

それと退院する日はメイクしたいので、化粧品も一揃い。

 

着換え

入院中は特段の理由がない限りずっと貸し出される病衣を着ているので必要ありませんが(下着は後述)、退院時に着るものが必要です。入院時に着てきたものを入院中に洗濯して着るなら不要ですが。

あと、胸のある方は、病室から出る時に気になると思いますので、病衣の下にカップ付きインナーを着るなどは必要かもしれません。わたし? 聞かないでください(泣)。

 

室内靴

入院のしおりに書いてありますが、滑ったり脱げたりして転倒するのを防ぐために、かかとのある滑らない靴を持っていく必要があります。学校の上履きみたいなので良いと思います。

 

タオル

フェイスタオルとバスタオルが要ります。枚数は個人の使い方によるので、必要最小限の枚数を計算して持っていきます。洗濯を活用して少なくできるようするとよいかと思います。

 

充電器

今時携帯電話を持っていかない人はいないと思いますので、その充電用の機器も必要です。電源コンセントの位置が近いとは限らないので、長いUSBケーブルのものがあると良いです。

ちなみにコンセントは2口しか使えないので、携帯とタブレットとオーディオプレイヤーと……みたいに複数の機器を繋ぐ時は効率良く繋げるよう考えましょう。

 

イヤフォン

病室で音を出すのはだめなので、動画を見たい、音楽を聞きたいなどの場合、必ずイヤフォン経由で聴きます。

これはテレビを見る場合も同じですが、部屋のレイアウトによってはテレビが近くないため、ケーブルの長いイヤフォンが必須です。ですがこれは用意するのが面倒なので売店で買いましょう。たしかそういう用途のイヤフォンがあるはず。

 

一般的な入院用の用具とは別に、SRSを受けたあとのケア用品についても。ただしここからは判断がつかなかったら全て売店で購入でもいいと思います。

 

T字帯

有り体に言って売店で買えばいいので、持ち込む必要はありません。が、「もし売店で売り切れてたらどうしよう」と心配性を発揮したわたしは買って持っていきました。というのも、2020年のブログでは「かんたんT字帯」という商品を使うというお話が書かれていたのですが、これが現在メーカー欠品で、これ買えない可能性も0じゃないよねという疑念が(よせばいいのに)頭をよぎってしまいまして。

T字帯であればメーカーや形状問わず何でも良いみたいです。わたしは一般的な形状の製品を持ち込みましたが、入院時に看護師さんに確認したら「これでいいよ」と言われました。

手術時に必須なので、現地調達だとしても早めに買いましょう。

 

サニタリーショーツ

SRSのあとしばらくは、下半身はT字帯だけになります。T字帯の下は患部をガチガチに固定した状態です。

その後固定が外れたらパンツに履き替えるわけですが、出血は続くので何らかの対策が必要ということで、妥当な選択肢としてサニタリーショーツを選ぶことになります。

なお、病院側からは特にこういうものをという指定があるわけではないので、通常履いているパンツでもいいですし、逆にオムツのようなものでもいいのですけど、サニタリーショーツにしておくのが無難というのが、山梨大学に限らずSRSを受けてきた方たちの意見と思っていただいてよいかと思います。

枚数はご自身で判断を。履き替えるタイミングとか、選択の有無でも変わります。ただ荷物はどうしても多くなるので、必要最小限の枚数ですむよう計算しましょう。

 

ナプキン

上のサニタリーショーツで書いたように、出血はずっと続くので、こちらは必須です。

わたしはこれを持ってきました。

14個×2では足りなそうと思ったので、これを2つ。つまり56個ですね。おかげでボストンバッグの容量の4/10はこれで埋まりました……

もちろん現地で買うのでもいいのですが、わたしは買い出しの手間と価格差を考えて持ち込みを選択しました。

「そんなに要らないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、出血量は人それぞれなので、頻繁に替えないと間に合わない可能性のほうが大きいです。実際、現時点(入院11日目)での私の使用量はすでに2パック目を半分くらい消費しているので、3パックでは足りなさそうです。

荷物を極力減らすのであれば現地調達、そうでなければ持ち込みですが、現地調達の場合もSRS前に買っておきましょう。いざ固定が外れて必要になった時に、売店まで買い出しに行くのはかなり厳しいです。

なおサイズについて言うと、実はこれでも結局後ろ回りしてショーツに血がついているので、もっと大きい方がいいかもしれないですね。

 

吸水パッド

ベッド上で膣洗浄するときの必需品。ですが、もしかするといらないかも。

というのも、2020年の時点では固定が外れたら大部屋に移動してそこでダイレーションと膣洗浄を行うというのが流れだったそうなのですが、どうやら少なくともわたしが入院している時点では、おそらく退院まで個室で、洗浄は個室のシャワーを使うという治療方針になったみたいなのです(このあたりちゃんと確認していないのですが)。

一度は使ったので全く無駄にはなっていませんが。

この辺は治療方針でガラッと変わるので、現地調達で良いと思います。

(追記)膣洗浄では使わないものの、ダイレーションはベッドの上で行うので結局必要です。要はシーツを汚さなければいいので吸水パッドである必要はないですけど。

ただダイレーションは行わない可能性もあるので(入院12日目の記事参照)、現地調達で良いという結論は変わりません。

 

防水レジャーシート

上記吸水パッドとセットで使うために持ち込みましたが、同じ理由で持ち込まなくて良いと思います。

 

コンドーム

これはダイレーション時にダイレーターに被せて使用します。そもそもまだ現時点でダイレーションを行っていないので分かりませんが、まあ必要になるはずです。

ちなみに退院後も同じ理由で必要なので、業務用のを纏めて買って、入院時は必要な分を小分けで持ち込めばいいです。私は下記のものを買いました。

持ち込んだのは20個ですが、入院中にダイレーションを行う回数によって変わります。わたしの時点ではダイレーションの開始時期が以前より遅くなったようなので、10個あれば十分だったようですが、そこまでかさばるものでもないので荷物の隙間に多めに入れてきてしまえばよいかと。

(追記)ちなみに用意していなかったのですが、ダイレーションを行うのであれば潤活用のゼリーも必要です。

百澤先生ご推奨の商品はこちら。

これは持ってきていませんでしたが、ダイレーションをするつもりでコンドームを持ち込むならセットで用意しましょう。

 

手鏡

自分のものは屈み込んでも見えないので、どこに何があるか確認できません。そこで、片手に手鏡を持った状態でダイレーションや膣洗浄をすることになります。基本的に必須で、おそらく現地調達できないか、できても選択肢が少ないので、事前に実物を手にとって使いやすそうな物を購入し、持ち込みましょう。用途がそういうものなので、あまり大きくないもの、重くないもの、取り回しの楽なものを選ぶのが良いかと思います。

わたしはこれを買いました。

 

これを鞄に詰め込むと

さすがにこれだけのものを鞄に詰め込んだら、ものすごい重さになりました。なお病院からは事前に「個人のスペースは小さいからなるべく荷物はコンパクトに」と釘を刺されているので、これでも鞄一つに収めました。

いやしかし、本当に重くてですね……入院当日の朝は外来で預かってくれたので、以後PCR検査の結果が出て戻るまでは軽くて楽でした。

 

忘れちゃいけないもの

実はこれ以外に忘れちゃいけないものがあって、入院中は基本暇なので、時間が潰せるものを用意しておく必要があります。

本だとか、動画閲覧用のタブレットだとか、何か余暇を過ごせるものを持ち込みましょう。

ただし暇とはいえ、SRSを受けた場合やることはそれなりにあるので、意外にそれほど時間はないかもということも頭においておくと良いです。「ああ、こんなに持ってくることはなかったな」などとなりませんように。

 

あれば良かったもの

実は途中まで検討したけど、嵩張るからと持ってこなかったものがあります。

マジックハンド

「入院 マジックハンド」で検索すると少なからぬ数の記事が引っかかるので、今や入院グッズの定番に近づきつつあるようです。

これが意外に、「あれば便利だったかもな」とちょっと後悔しました。何かというと、あとちょっと手を伸ばせばとれるのに届かないものを、いちいち立って取りに行くのが非常に非効率なんですよね。これはものぐさとかではなく、立つにも痛みが伴ったりするので、養生のためにも立たない方が良いということもあります。SRS直後はそもそも物理的に立てませんし。

もう一つの使い道が、床に落ちたものを拾うこと。股間に傷を抱えていると、立ったり屈んだりがかなり不自由です。そんな時マジックハンドがあれば楽だったろうなと思いました。

性別適合手術・入院9日目

9日目ということは、SRSからまるっと1週間が過ぎましたね。そろそろ手術の成果がどんなだったか確認したいところです。

 

ご対面

ということで、昨日できなかった膣洗浄の指導の続きがありまして、まずはその前に鏡で自分の股間と対面しました。

が。正直良く分からん。

ああなるほど、ここがこうであそこがああなってるんだなというのは理解できますけど、全体的にバランスがおかしいというか。

まだ腫れ上がってて形が変なんですよね。落ち着いてくればまた見た目も変わりましょうが。

それにその、わたし、女性のそれがどんなだったかそろそろあやふやでして……

どっちにしろ、腫れが引いた時のことを楽しみにしておきます。見比べさせてくれる相手を募集しないと(え)。

 

膣洗浄

わたしが山梨大学医学部附属病院でのSRSが決まってから一番参照させていただいたブログ

山梨大学医学部附属病院でのSRS体験談(2020年度版)

によると、病院での膣洗浄指導で使われるのはネラトンカテーテルとシリンジとのことでしたが、どうやら1年ちょっとのうちにプロセスに変更があったようで、こちら、プチシャワー・セペを使うことになったようです。

ローソン(病院内の売店)にも売ってるから、買ってきて、と言われたので後で買いに行くのですが、それについては後述。

まずはベッドの上で洗浄しましょうということで、ネラトンカテーテルでの洗浄です。

なお、この時とばかりにわたしは先術のブログで学んだ知識を元に防水レジャーシートと吸水パッドを取り出しまして、用意の良さに感心されました(ゆーきさんのおかげです。ありがとうございます)。

 

さて、二人の看護師さんに股間を見つめられながらああでもないこうでもないとカテーテルで探り探りされるという恥辱プレイ(歴とした医療行為だからそういう事言わない)に耐えつつ、更には「ここかなあ」「あ、あの、そこ多分尿道です……」みたいなコメディ展開(実話です)もやりつつ、ようやく膣洗浄完了。

腫れててどこに何があるのかよく分からないらしいです。たしかにその点、プチシャワーなら早々変なところには構造上入らないはずなので、こっちが採用された理由もなんとなく伺えますね。

今後ダイレーション後に必ず洗浄を行うことになるので、ちゃんと覚えておかなくては。

 

はじめてのおつかい

ということで、まずはプチシャワー・セペを買わなければ。

夕食後、院内の売店(なんと24時間営業)であるローソンに行きました。入院後病棟から出るのが初めてなので、そもそもどうやって出入りすればいいか分からず、看護師さんに聞いて(そこから?)みたいな反応が帰ってきてしまいました。

 

ローソンの場所自体は何度も前を通ったから分かります。なにせこの山梨大学医学部附属病院というところ、建て増しの関係かものすごく複雑な繋がり方をしているので、院内を歩き回る時「ローソンの前を通って」とか「ローソンの手前で右に折れて」みたいに目印として使われるので。ただその、ものすごく複雑な繋がり方のせいで、帰りちゃんと帰れるのか少々不安になるのですが……

 

まあ当たって砕けろです。消灯前で灯りがあるとはいえ、あまり人気のない大きな病院を夜に徘徊するのは若干怖いのですけど、とにかく進むと、記憶通りの場所にローソンが(実際はちゃんと案内看板があるのでそんなに迷わないですけど。とはいえ帰りお店を出たところで早速違う通路に入りかけましたが)。

プチシャワープチシャワー……と探していると程なく見つけたので、手にとってレジへ。何故かその手にはワンピース101巻も握られていましたが(だってオペ日が発売日だったんだもん)。

 

店内では3回分一箱で税込み924円でした。何度も買いに来るのは面倒なので3箱購入しました。

標準的な価格だと思いますが、他でなら安く変えることもありますので、買って持ち込むのもありかとは思いますが、将来膣洗浄の方法が変わっていることもあり得ますので、その辺りはご自身でご判断ください。少なくとも事前にこれを買っておいてみたいな説明はないので。

 

部屋に帰ってワンピース読んでいたら更新がこんな時間になってしまいました。時間泥棒ですね……

性別適合手術・入院8日目

8日目、入院期間としては折り返しの日ですね。

昨日予想したとおり、なんだかてんこ盛りの日でした。

なお、今日の記録は割と生々しい表現が多発するのでご注意ください。

 

管が外れる

硬膜外麻酔の管、採尿チューブ、排液ドレーンなど、一気に管が取れました(この後点滴も外れたので完全オフです)。

いやあ、一気に下半身が楽になりましたね。

 

で、全て取り去った後、先生の手で患部の洗浄が行われたんですが、この時発覚したことがありました。

手術直後から亀頭に触れる感覚があって、もうそんなものはないので切り離したペニスの付け根に触れる感覚がそういうふうに伝わってくるのかしら、などと首を捻っていたのですが、正解は「クリトリスとして移植された亀頭の一部にものが触れた時に、それがどこの感覚なのか分からなくて位置を誤認していた」のでした。

脳内で思い描かれる触れられている箇所が、そこだけ別のところにジャンプするので、かなりのバグ感が味わえますね。

なお、詳細を書くのは憚られるのですが、今のクリトリスめっちゃ敏感になった時の亀頭並みのセンシティブな触覚なので、洗われたり触れられたりする度にビクビクしてしまいます。多分そのうち落ち着くと思いますが。

 

あと膣内の洗浄もされたのですけど、膣の中はあんまり感覚がなくて、ただそこに穴ができているんだということだけはしっかり分かりました。

 

初めての排尿

さてカテーテルも取れたので、手術後初めての自力排泄を行い、噂に聞いた「おしっこがどこから出るのか分からない」「どこの筋肉をどう使ったら排泄できるか分からない」というのを体感しました。思ってたより随分後ろから出るんだなという印象ですね。え、じゃあ膣はもっと後ろなの? とか、ここでも身体感覚がバグりそうです。

排尿量を測るため、一旦カップに取らないといけないんです。けどこれがどこに当てればいいのか、いつ排出が始まるのか分からなくて。ただ、排出についてはなんとなく一発で掴みました。なんかこの辺を緩めると出てくるわー、みたいな。

 

T字帯も取ってサニタリーショーツにナプキンを装着して履くことになりました(今だから言うけど、手術後に着けられたT字帯、裏表逆だったっぽいです)。パンティライナーは使ったことがありますが、ナプキンは初体験です。

 

あ、そうそう、この時例のかぶれて酷いことになってるところを初めて見ました。いや、本気で酷いことになっててちょっとあんぐりでした。だって滅茶苦茶痛そうなんですもん。ここは軟膏を塗ることになりました。

 

お昼

お昼ごはんは初めての選択食、天ぷらそばでした。

今まではベッドの上で状態を起こすだけだったのですが、起き上がれるようになったのでどこにどう座って食べようかとああでもないこうでもないと始めてしまいました。伸びるから早く食べればいいのに。

 

その後は立てるようになったのをいいことに、喜び勇んでこれまで手元になかったAndroidタブレットやiPodTouchをかき集めたり、飲み物を買いに行ったり、シャワーの準備をしたりしました。けれどそんなことをしているうちにパタンと電池が切れたように、いつの間にか眠っていました。まるで気を失うように……

 

シャワーの惨劇

午後からシャワー。ここで、自分で膣内洗浄を行う際のレクチャーを受けることになっていました。

完全に眠っていたので、様子を見に来た看護師さんに、出来るようになったら呼んでと言われ、なんだか疲れてるけど準備しなきゃと起き上がって支度を始めました。

トイレに行ってパンツを下ろすと、ナプキンの前から後ろまでどころか、はみ出たところまでが大量の血で汚れていました。前側は例のかぶれたところからの出血ですが。

先に体の他の部分を洗って、終わったら呼んでねと言われたので、支度をしてシャワーを浴び始めたんですが、何かくらくらするんですよね。わたし先日まで男子だったとは思えないくらい貧血で倒れた経験があるのですが、これも貧血かなあ、そりゃあれだけナプキンに血がついてるしな、などと呑気に思いを馳せながら体を洗ってたら、本気で倒れそうになりました。

あ、本当にだめだと思ったので、看護師さんを呼んだあと何があってもいいように体を拭き、手すりを支えに立っておりました。

やがて看護師さん到着、とりあえず膣洗浄だけでもとネラトンカテーテルを押し込もうとして、その先が血塗れなのを見て看護師さんもヤバさを感じたのか、先生を呼び体を拭き、先生がいらっしゃったので私の体を持ち上げるように立たせたところ、シャワー室の椅子にレバーの塊のような血が……

 

幸いにして先生がすぐに縫合後や膣内など確認してくださり、一旦想定している以上の大量な流血や綻びはないこと、想定している以上の流血ではないことを説明してくださいました。あの血の塊を目にした瞬間、何かを覚悟しないといけないのかと身構えたのは杞憂でしたが、とにかくまず休むことと、次に立ち上がるときはナースコールで呼ぶよう言い渡され、膣洗浄レクチャーは一旦棚上げに。

 

その他

お陰様でだいぶ回復しました。わたしはどうやら本当に貧血に弱いらしいです。

とにかく、明日に持ち越しになったことがいくつかあるので、まずそこからですかね。今日からは寝返りも打てますし、ベッドが交換され硬い床になったので、より快適に寝られそうです。